未だ幼い孫の、最も目を引くのはその褪の季節の彩りのような華やかな髪だろうが、目の前のヴァラにはそうではないらしい。
彼にはきっと、この子の為すこと全てが珍らかで、可愛くてたまらないのだ。
半身のようにして育つだろう白い獣に頬を舐められて、ヴァラには鼻の頭に口づけをひとつ。
きょとんと零れ落ちそうに眼を見開いているのに、ヴァラは愛しさが溢れ返った顔をしている。
いつ、釘を刺すべきかな。
移り気と、言えるかもしれない力ある方だが、どうやら幼い孫への思いは真摯なものであるらしい。
「……泣かせたら許せませんからね」
なにせ長い長い時が、私たちには与えられているのだから。