夢も見ない眠りからふと目覚めると、ひとりきりではなかったと知った。
豪奢な金髪を豊かに寝台に広げ、インディスはしかし、寄り添うでもなく傍らに眠っている。
身を起こし、フィンウェはインディスの寝顔をそっと覗き込む。
目覚めている時の生き生きとした明るさは眠りのうちに抱き取られ、いっそ厳粛な雰囲気を醸し出す。
そういうところを見ると、フィンウェはいつも金髪の友人を思い出して、まったく愛しい氏族だとつくづくと思うのだ。
手を伸ばして胸に抱きこんでみれば、かすかな身じろぎが、むずかる赤子のよう。
背中に手を回し、いっそう引き寄せれば、落ち着く場所を見つけたのか、ふわりと彼女は微笑んだ。
(かわいい…)
額に小さな口づけをして、フィンウェは豪奢な髪を指にからめて弄ぶ。
今から見る夢は楽しいだろうと思った。