大中庭

アウレの家は豊かなる土地
黄金の門の外に広がる大地
土の上でヤヴァンナは歌う
まだ何もない大地に立って

アウレは家を置いて仕事に出かけた
一日、二日、三日、働き
四日、五日、六日、働いた
七日目にかれは疲れを覚えて
家を求めて妻を探した

アウレの家は豊かなる土地
黄金の門の外に広がる大地
アウレはヤヴァンナの膝に憩う
まだ育まれない大地の上で

アウレは妻を置いて仕事に出かけた
一日、二日、三日、直し
四日、五日、六日、直した
七日目にかれは疲れを覚えて
妻を求めて家を探した

さて黄金の門の外の土地には
多くの芽が伸び、幾種類も栄え
あらゆる過去と、あらゆる未来に
生え育つ木々のすべてがあった

「わたしの妻はどこだろうか」
木々の囁きが「ここに」と応えた
「わたしの家はどこだろうか」
「妻のところではないかしら」
そしてヤヴァンナがそこにいた

アウレの家は豊かなる土地
黄金の門の外に広がる大地
すべての木々の生え育つところ
ヤヴァンナの心溢れるところ

あかるき金と、まばゆき銀と、かがやく星の網で満ち
くろがね、あかがね、こがね、しろがね
かつての創世の合唱のごとく
一なるものの御心のごとく
起こったことと起こりうることを
織り成し青い水面に映す

木々から果実へ甘露満ち
果実は大地に接吻し
薫りあふれて地を潤す

重い実を拾うのはヤヴァンナの侍女たち
われらが木々の女王のために
偉大な緑の御方のために
彼女の愛しき夫のために
夫妻の実りの饗宴のために

アウレの家は豊かなる土地
黄金の門の外に広がる大地
アウレはヤヴァンナの腕に憩う
恵みを懐く大中庭に

HoMe1、Book of Lost Tales Ⅲ “The Coming of the Valar and the building of Valinor”より