フェアノール

「遠くへ行きたい。遠くへ」

 ノルドール・エルフ。シルマリルの創り手。
 フィンウェとミーリエルの息子。フィンウェの長男。最も優れたエルフ。
 黒髪・鋼色の瞳。

 主・役(笑)。
 シルマリルの影の落ちるところにフェアノールの影もまた落ちている。
 退場時期も早いのに、なんだってこの方はこんなに影響力が強いのでしょうねぇ…。

 アマン生まれのくせに湖世代なみに幼年期が不幸。
 この方はまず、「王である」フィンウェさんの息子に生まれたのが不幸。フェアノールにとっても不幸だけどノルドールにとっても不幸。
 ウチのフィンウェさんは王じゃなかったら再婚しないので、フィンウェさんが王じゃなくてフツーのエルフだったら、フェアノールは、たとえ母が先にマンドスにいってしまっても、優れた匠になり、シルマリルは失ったかもしれないけど父は失わなかっただろう。
 はたまたフェアノールがフィンウェさんの息子じゃなく単なるシルマリルの造り手であったなら、フィンゴルフィンがフェアノールに従うことはなく、従って、アマン出奔を呼びかけても(そもそも呼びかけないかもしれない)あそこまで多くのノルドールが従うことはなかっただろう。仮定の話だけど。

 まぁしかしフェアノールは、教授の中でずーっと「シルマリルを造ったエルフ」だったわけで、それがフィンウェさんの息子にのし上がり、挙句の果てに長子の座もぶんどってるわけで、結果的にはめちゃめちゃ美味しい設定ですが、悲劇はより増したかと(笑)。
 あー、お疲れ様、マエズロス(マエ兄限定ですか!?)。

 さてフェアノールのイメージはといえば、まずは名は体を表す・火精。
 つまりは取り扱い危険物。触るな危険。
 そして万人が認めるであろうもうひとつの特徴は、強烈なファザコン。これでしょう。
 息子たちよりも妻よりもシルマリルよりも、全世界の何よりも父親が大事。
 ウチのフェアノールは特に、もはやファザコンというより精神的依存症。
 精神的依存症というより、もはや中毒。ていうか世界。
 フィンウェさんがいない世界にフェアノールの幸せはありませんから、もしモルゴスに勝ってシルマリルを取り戻したとしても、ウチのフェアノールは遠からずマンドスに引きこもり。そこにフィンウェさんがいるから。
 今までマンドス還りの事例がない以上、フェアノールはエルフが蘇るっていうのを信じてませんから(爆)マンドスに殴りこみ(笑)ていうかこっちから会いにいけば良い、と。

 このフェアノールの愛は、言うなればマンウェと結婚できなかったヴァルダ的。
 究極までいくとフィンウェさんが生きているだけで幸せ。
 だけどそこまで悟ってないので、こっち向いてこっち見てこっち構って構ってかまってー!という感情、及びそれの反動で、離れてみようとしたり、もう嫌いだもん!とかなる。
 なまじ“死別”は本当はないはずのエルフなもんで、フェアノールはフィンウェさんをどこまーでもー追いーかけーてーゆーこうー♪…いやトートじゃなくて(いやトートでいいけどさ。ちなみにヅカ版でお願いします。棺桶に閉じ込めるのはやめて…!さらに出来れば月組版で…(くどい!)
(や、フェアノールの性格を考えると実は花組トート的か?いやだがキャストイメージとして春野さんは…)(ていうかいい加減に止まれ))。

 えーと。なんだ。
 フェアノールが幸せになれないのは本人が「フィンウェさんがいないと幸せになれない」って思い込んでるのが最大の原因な気がいたします。
 自分が愛してる気持ちの10倍くらい愛し返されないと愛されてるってわかってくれないので(爆)……ネアダネルは本当に凄い、と思います。
 フェアノールにとってはフィンウェさんは世界、ネアダネルは幸福。

 世界があって、幸福がある。逆はない。そこが不幸。

【私家版フェアノール】黒/鋼 ちょっと妖しい色気がある美形。才能に恵まれ生かす場があって成果が出せてカリスマ持ち。スペックの尋常でない高さを気性・行動の激しさで台無しにしてる。不治のファザコン。でも良い恋愛して結婚したんだよ。父は世界で妻は幸福。世界があって幸福がある。逆はない。