ヴァーナ

 ―――ヴァイレの綴れを見ながらナーモ語る。

 わたくし、公平になんかとてもできません。
 おっとりとヴァーナは言った。オロメはふむ、と唸って、――あ、なるほど。と言った。
「つまりわたしは特別にされてると思っていいんだな」
 納得したというふうに顔をほころばせたオロメに、ヴァーナもまた微笑んだ。
「だって、特別はつくるより他に仕方ありません。ですからわたくしも」
 にこにこ、にこにこ。
 なぜだか軽く微笑み合戦をした後、オロメは明るく言った。
「じゃあ、たびたび来ることにするよ」
「あら」
 ヴァーナはきょとんとした。
「わたくし、それならいっそ結婚しちゃった方がいいのではないかと思うのですけれど」
 そして彼らは結婚することにした。

 ……のである。
 そう聞いてネッサは
「何なのよそのボケボケ夫婦――っ!お・似・合・いねぇっ!!」
と怒鳴り、ヤヴァンナは
「……あたし考え直すように言ってこようかしら…」
と呟いた。

 後々オロメはこう言うようになった。
「ヴァーナはわたしの麺類だ」
 …この発言を素晴らしい愛の発露と取るか、ボケるのもいい加減にしろと取るかは、聞くものにお任せしたいと思う。