エルフの眠り方

 シルマリルリオンの記述をそのまんま解釈すると、クウィヴィエーネンのほとりでクウェンディたちがオロメに会う以前に、
 その周囲には「影のような姿をした黒い乗り手たち」が出没してて、
 しかも仲間からうっかり離れてたら捕まえて、「貪り食」っちまってたわけだそうです。
 ひー、ホラーだ。
 だってそれって、乗り手ってわざわざ言われてるからには、馬に乗った人型していたに違いなく、それが。捕まえて。ガブリと。
 ひぃ、流血沙汰。
 でもオークの出来方を考えるに、乗り手が食ってたとはちょっと思いがたい…。
 ろめ的には、メルコールが放った、むしろ関与していたのが乗り手たちで、
 これはさまよい出たクウェンディを誘拐する役目を負っていたわけです。
 ああ、哀れな湖世代の1代目2代目(しくしく)。
 で、メルコールが積極的に放ったわけではなく、でも彼が作り出した闇に乗じてどんどん繁殖していったのが、獣。
 こちらはそのうち数を増やしていくにつれて、クウェンディたちが群れていても、
 ちょっぴり離れているだけで襲いにいって、ヴァリヴァリと食ってた、とかあるわけです。
 これが後世に伝わるにつれて、なんだか混在して、乗り手が。ええガブリと。食っちまったとかいうことになるわけですよ。

 で、こういうふうに、寝ている時に襲われたら…。
 しかもわかりやすく襲ってくるのでなく、こっそり襲ってきてこっそり食料ゲットして去られたら、
 寝てて気づかなくて(向こうにも美味しそうとは幸い(?)思われないで)
 起きたら隣に寝ていたはずの人がいませんでしたとか、そういうこと、あったと思う。
 まぁ、年中夜だから、ズラして寝たりとかも思いついただろうけど、それにしたって、
 うとうとと眠くなってしまったり、逆に見張りが襲われたらそれまでなわけですよね。

 そんな時にオロメによって教えられたのが、イルモ考案・夢の小道。
 クウェンディ皆に伝えられた、と。
 夢の小道の一番いいところは、ちょっとしたことにもすぐ気づくというか、起きてるけど休まったとか、
 そういうところにあるんだと思うんですよね。夢の小道にも2段階あるようですが。
 (活動中に心だけ休んでる場合と、一応体も座ったりとかで休んでる場合と)
 エルフだって、本来は人間と同じように普通に寝るんだと思うし、
 怪我とかしたら目を閉じて休んで、回復するんじゃないかなぁと思うわけです。
 泥酔したらいびきもかくし(笑)。

 というわけで、夢の小道が非常事態(戦争まっさかりとか)にあっての非常手段だとするならば、
 アマンに渡って安穏とした生活をするエルフたちは、みーんな、普通に目を閉じて眠るのじゃないかしら、と。
 アマン生まれのエルフは特にそうですよね。長年(?)夢の小道式眠り方をしていた湖世代とはちょっと違う。
 後から教わるという点では同じですけど、
 切羽詰って、本当にそんな眠り方をしなければ命が危ないとか、そんな状況には陥ったことがない。
 その眠り方ができるのは知ってたけど、わざわざそんな眠り方しなくても、普通に眠ればいいんだから、しない。
 ……そんなエルフたちが中つ国に立ち戻ってきて、戦の連続で、自然と夢の小道式眠り方を使うようになっていったと。

 中つ国のアヴァリやらシンダールやらファラスリムは、半々だと思います。
 ドリアスの若い世代は普通に目を閉じて眠っていたかもしれない。
 シンゴルはメリアンに絶対の信頼をおいているから、もう安穏とぐーすかぴー、でしょうけど。
 国境警備隊組は夢の小道式の方が断然多いだろうな。休暇中にはひたすら寝ます!とか。
 いわゆる「日曜なのにどーして早起きしなきゃいけないのさー」状態。

 アマンからやってきたノルドールたちだって、長く続いた平和の頃には、それほど気を張らずにくーすかぴー、とかあったはず。
 ずっと緊張状態にはあれません。消耗するもん。
 まぁその眠り方の違いですらネタとして使うべきなんでしょうけど。もう、超典型的に。

 ところで思索の途中にうっかりうたた寝とか、そういうふらっと眠ってしまう系は、
 エルフの場合は無意識に夢の小道式になってるんじゃないですかねぇ。
 そういう眠り方できたら楽なんですけどねぇ。授業中とか、校長の長い話の間とか。
 人間がちょっと考え事に没頭してる時とか、眠くて眠くて、バレないようにこっそり目を閉じてみるとか、
 そういう状態の時に夢の小道式睡眠。便利ー。

 でもいくらエルフでも目が疲れたとか、そういうことだってあったと思う。
 フェアノールなんか、根つめて仕事した後の目の疲労とかすさまじそうですよね。
 そのうちこう、アイマスクとか開発しちゃったりとか。目薬とか。マッサージとか。(話がズレています)

 ま、そんなわけで、ウチのエルフたちは、平時はみーんな目を閉じて眠ります。狸寝入り可(笑)。