蘇れるエルフ蘇れないエルフ

その2 蘇れないエルフはたったのふたり?

 前ページで便宜上、「蘇れないエルフ」の話が出ましたが、これは厳密に言うと、たったのふたりしかおりません。
 しかもそのふたりの蘇れない理由は違うのであります。
 ではまず、その「真の蘇れないエルフ」を紹介いたしましょう。

 ミーリエルとフェアノールです。

 霊的マンドスに無期懲役状態でとどまっていなければならんとハッキリ宣告されているのは、私の解釈が正しければ、
 実はミーリエルたったひとりなのです。
 エルフに離婚はありえないらしいので、フィンウェさんがインディスさんと結婚している以上、ミーリエルは永遠に霊的マンドスから出られない。
 ミーリエルが現実世界に戻ってきたらフィンウェさんの重婚になっちゃうから。

 ミーリエルが霊的マンドスから出てこれる条件としては
 1、インディスが霊的マンドスに留まること
 2、フィンウェさんが霊的マンドスに留まること
このどっちかしかない。どっちか満たせば、ミーリエルの復活は可能なわけ。

 そういうわけで、インディスが元気でアマンにいる以上、
 ミーリエルは霊的マンドスから出ることは許されない。というか、そうなった。
 いやね、フィンウェさんが霊的マンドスに行ってもミーリエルは復活できるんですけど…(重婚してる当人がいないんだもんねぇ…アリだよね?)
 はて、やっぱり私はフィンウェさんが謎でしょうがない…なんて魅力的な謎だろう(爆)。

 かたやフェアノールは、マンドス無期懲役状態になっているけれど、ミーリエルとは理由が異なる。
 彼はアマンを追放になった身で、つまり中つ国で元気によろしくやっている分には問題なかったのだ。
 (いや、それはそれですっごく問題大アリだと思うけど!)。
 ところがどっこいお亡くなりになったがゆえに霊的マンドスに来てしまい、
 霊的マンドスを出たらそこは現実マンドス…つまりアマンだってわけで、霊的マンドスの中しか居場所がないわけである。
 こう整理すると実に単純。

 グロールフィンデルはものすごい例外なわけで、
 もし蘇りエルフがアマン以外の場所に蘇れるなら、フェアノールの復活は可能なわけです。

 しかし、フェアノールにはもうひとつ、蘇れないワケがあります。

 はい、ここで霊的マンドスからの復活のための4つの条件を思い出してほしいのであります。

 1、霊的マンドスに行ったエルフは、基本的には全員蘇れる。
 2、中にはいろんな理由で蘇れないエルフもいる。
 3、蘇らないこともできる。
 4、蘇れるのは、ナーモ様の裁可があってから。

 まず、基本的には、エルフは全員蘇れます。蘇らないこともできます。
 ただしそれは、すべてナーモ様の裁可があってから、の話。
 裁きが受けられなかったら、蘇りも何もあったもんじゃありませんよ。

 そう、フェアノールの蘇れないもうひとつの理由。おわかりですね?
 彼は、裁きの順番がいちばん最後なんです。

 霊的マンドスからの復活のための4つの条件の2番、ここにあたるエルフたちは、
 皆、この「裁きの順番が後回し」という点で、一見蘇れないように見えるわけです。

 さあ、もうひとつ思い出してもらいたいものがあります。
 いわゆる『マンドスの呪い』『北方の予言』『ノルドール族への宣告』です。
 これは後々停止するわけですけど…。

 まずこれは「アマンを出奔していった全てのエルフ」に向けられている。
 そんで、内容はといえば、3つあって
 1、君らちょっと、エルフとしてどうかと思いますな行動をしたから、もう帰って来てもヴァリノールに入れてあげない!
  今さら謝ってもムダだかんね!
 2、君らがあれこれあってマンドスに来て、蘇りたいって言っても、蘇れるチャンスなんてもうないからねー。
 3、特にフェアノールさん家、君んとこの誓言、マジ、無理ですから。
 こう、なはず。
 ちなみにヴァリノールって、ティリオンも含みますよね。きっとアルクウァロンデも含むんだろうな。
 その名残でべレリアンドから後々船で来るエルフたちってのはトル・エレスセアに住むんじゃないかしら。

 この「エルフとしてどうかと思います」な行動っていうのは
 言わずと知れた「同族殺害」(アルクウァロンデでのテレリ殺害&船強奪)というわけで、
 フェアノール一族郎党丸ごとは主犯。弁明の余地なし。
 そしてうっかり突っ込んでいった勇敢なる(爆)フィンゴン率いるフィンゴルフィン一族郎党の一部は従犯。
 弁明の余地はあまりない(笑)。
 めちゃくちゃやる気でフィンゴルフィン一族の軍勢の先頭に立ってたフィンゴンは確実で、
 フィンゴルフィンも多分…だけどトゥアゴンは微妙。ってなところでしょうか。関わってたのか関わってないのかが全くもって不透明で…。

 フィナルフィン一族郎党は最後に来てたし、
 即帰ったフィナルフィンが許されてたあたり関わっていないと見てもいいかと思います。
 …けど、フィナルフィンと彼に従って戻った方々以外は「アマン出奔」を遂げたわけであります。…よね(不安)(おい)。
 このアマン出奔したノルドの方々は、この瞬間から、「マンドス留め置き」の資格充分、と。

 で、「マンドス留め置き」って言うのは、「裁きの順番がひたすらに後回しになっていく」ということで、
 まだ死ぬかもしれないエルフがひとりでもいると、裁きが受けられないんですよ…たとえナーモ様がいかにヒマしてようと(爆)。
 まぁ、ほぼ常に忙しいお方ですが。

 で、マンドス留め置きの理由…同族殺害が一番のポイントだとしたら、
 とても疑問なことがひとつあります。
 ……あのね、仕掛けたノルドールはともかく、襲われて応戦したテレリ、シンダール、その他…その辺の方々はどうなるの??

 やっぱり…ちょっぴり…後回し…なんだろうな…。

 ナーモ様の裁きの順番は、
 1、普通に同族以外と戦ってお亡くなりになったエルフ(もちろん同族殺害はしていない) 
 2、アマンを出奔したエルフで、同族殺害をしていない者たち
  (フィナルフィンのこどもたち及びそれに従った方はこれかと) 
 3、中つ国のエルフで、応戦の結果同族殺害をした者たち
  (ドリアスのシンダールとか、シリオンの住民とか) 
 4、フィンゴルフィン一族郎党 
 5、フェアノール一族郎党 
 こんな感じ?

 裁き待ち組の後の方と留め置き組はもうほとんど変わんないんじゃないかしら。
 わかりやすく言うと、マエズロスは無期懲役なんだけどフィンゴンは懲役百万年なんだよね。変わんないよ(笑)。

 で、きっと3番までは、このカテゴリ別の来た順とかで裁きが受けられるんだけど、
 4番5番の例の方々っていうのは、まだ死ぬかもしれないエルフがひとりでもいるうちは後回し、と。
 一応「まだ死ぬかもしれない」っていうのは、中つ国…アマン以外の場所に住んでいる時限定ってことにしてると思う。
 アルクウァロンデの例から、同じエルフがエルフを殺さない限り、アマンで死ぬエルフは、
 ミーリエルのように自分から安らぎを求めて去るか、フィンウェのようにもうほんと予想外な敵に殺されるか、どっちかしかないから。
 で、4番5番の例の方々の裁きの順番は、責任能力の低かった順。
 民から裁いて王族最後。なかでもフェアノールなんてほんとに最後の最後。

 さて、こう分けてみると謎な子が数人いるんです。
 ノルドール王家のハトコ組。
 アマン生まれだと推定できるのはイドリルだけだし、
 中つ国生まれだと推定できるのはマイグリンとエレイニオンとケレブリアン。
 ケレブリンボールとフィンドゥイラスは謎。
 4人は確実にマンドスに参りましたが、彼らはどーゆー立場なんだろう…。
 マイグリンはごく普通に懲役百万年組だと思いますが…。
 エレイニオンとケレブリンボールはどうなんだろう…?中つ国生まれでも親に順ずるのかなぁ…。
 親の因果が子に報い?っていうか、エルフってそれってやたら多いよね(笑)。
 やっぱり苦労してるなぁ…ケレブリンボール…。

 そんなわけで、アルクウァロンデで殺されたテレリたちは、けっこう早く蘇ってきてたんじゃないだろうか…。
 でもなー、相当トラウマになるよなー…。

 さて次は、ろめ仕様・霊的マンドスにようこそ!の巻。