エネル

 星よりも明るい光を、この子らが見たのなら、どうか、どうか、どうか。

 エネルは己の血に埋もれて半ば横たわり彼を見る。
 自らの血縁、大いなる存在に連れられて、西の果ての光を見た者を。

「後を頼む」

 また、血が強く香る。
 ああこの子らにこんな姿は見せたくなかったのに。
 いなくなるのならば気づきもせぬうちに、隠れてしまうべきだったのに。

 悲しみは忘れよ。
 暗い闇に横たわる亡骸は、忘却の淵に沈めるのだ。

「許してくれ」

 彼はわたしを抱きしめる。
 すがるのではない。もう縋れない。
 許してくれ、できるならばもっと長く守りたかった、導きたかった、だがそうは出来なかった。

 星よりも明るい光を見たこの子らは、正しく民を導くだろう。
 最初に目覚めたわたしたちが、守り育てたこの民を。
 光よ、どうか。この子らを。

「わたしたちは成すべきことをした」

 エネルは微笑んだ。光よ。光よ、どうか。導きを。