暗闇の中にも生命は溢れていた。
水は静かに音楽をもって流れ、空の闇の中に、そして、星が瞬いた。
それは目を開いた。
それは空を見ていた。空を、広がる暗い空の中にきらめく光を。
それは口を開いた。
はじめての息が吸われた。
「ele!」
はじめての声が響いた。
それは身を起こす。空を見ている。
もう一度言う。ele!
はじめての言葉を紡ぐ。
それは空から自らへ目を向ける。
手を見る。体を見る。体に触れる。
彼は自らから大地へ目を向ける。
彼女をみつける。
すぐ近くで、誰かがまた目を開く。
誰かもまた空を見ている。
そして言葉が紡がれる。ele!
見よ!見よ!
歓喜をもって闇に響く。
――わたしの最初に見たものは、他の何でもなく、星だった。