まるで一幅の絵のように思った。
 父が祖父に甘えるのはいつものことだ。それはもう日常茶飯事だ。
 祖父も父を甘やかすのは当たり前のことだ。それは少なくとも、私がこうしてふたりを目にするようになってからはずっと。
 けれど、そういえばこの光景を目にするのは初めてだったように思う。
 祖父の祝福は私でさえ何度も受けたものだけれど。
 幸あれ、と聞こえた気がした。
 父は小さな熱の掠めた額に触れて、そうっと、笑んだ。
 祖父もきっと微笑んでいるだろう。