現パロ日誌 3月

 3月1日(日) フィンウェ

 気づいたらあと二日なんだよね…。でもいいかと思ってつるし飾りのひな飾り持ってきてみた。あれ、フェアノールいないの?またどっかいったのか、あの子。すれ違ってばっかりだよ。
 今回のこれはね、結構自信作なんだよ。向いてるとは言い難かったけど、裁縫ってけっこう楽しかった。ミーリエルの見てたらやるより見てる方が楽しく思えたからね…やらなかったんだけど、さ。
 集中して何かやると後でどっとくるなぁ…年かな?

 3月2日(月) アレゼル

 いいえ、たぶん、男の子よ。そうだと思うの。そうよ。だからきっとひな飾りは必要ないわ。フィンゴン兄さまは別に男の子にひな飾りだっていいじゃないかって言うでしょうけど。確かエレイニオンにあげたがってたもの。案外子煩悩なのよね、あれでも。
 そう、エレイニオンが初めてしゃべった日なんか大変だったわ。しかも父さまって言った!って大主張。そりゃそうよね。一番発音しやすいんじゃないの赤子には…「adar」って。
 ………でも私ね、「nana」だってそう負けてないと思うわ。あの山籠り男には負けないわ。……そういえばいつ帰ってくるのかしら、あの男。

 3月3日(火) オロドレス

 片付けるんでしょう。手伝うよ。フィンドゥイラスが嫁き遅れちゃう。どれだけ嫁き遅れてくれてもいいけど…って少し思うけどね。そういえば、このひな飾り、あなたのだって本当?マエズロス。確かにとっても立派な段飾りだけど…ああ!
 今やっと気付いたよ。これ…ヴァラール雛なんだね。芸が細かいというかなんというか…。あれ?でも、15人いるけど…おかしくないかな、それじゃ。
 うん…右大臣と左大臣がオロメ様とトゥルカス様。三人官女がヴァルダ様、ヴァイレ様、ヴァーナ様。五人囃子がナーモ様、イルモ様、ヤヴァンナ様、ニエンナ様、エステ様。で、仕丁がウルモ様、アウレ様、ネッサ様。………え?
 ねえマエズロス、このお内裏様とお雛様、おんなじ顔してる…?
 え!そうなの?そりゃあ、確かに双子…でも、そうなの?じゃあ、どっちがどっち?わからない?そんなあ。

 3月4日(水) クルフィン

 どうでもいいことだが、“フィンウェミンヤ”は若干馬の名前にありそうだと思う。
 “おっと出ましたフィンウェミンヤ、フィンウェミンヤ速い、出たら速い、鬼のように速い、相変わらずえげつない速さ、フィンウェミンヤ行った、フィンウェミンヤ抜けた、他を従えすらしない、速い速い、稲妻のように駆け抜けて…今、ゴールっっ”
 さらにどうでもいいことだが、私は競馬を見たことがない。

 3月5日(木) ガラドリエル

 今日の大発見。牛乳にりんご酢を入れると飲むヨーグルトの味がする。
 …………ダイエットには良いかもしれないわ。

 3月6日(金) トゥアゴン

 金がない?良いから来い!と言ってしまった。兄上に。酔っていたのかもしれない。少し反省した…とは言っても支払は私がしたのだが。
 兄上は別に厳密に言うと金がないわけではない。テモトフニョイというやつだ。手元にないのだ。それと、金勘定がどうもザルだから残っているのか残っていないのかもしょっちゅう分からなくなる。そして気にしない。
 ……なんとも、自由なことだ。
 そこが兄上のいいところなのだが。

 3月7日(土) マグロール

 コンサート会場の入り口で胡蝶蘭のミニサイズ、1株だけのものが売っていた。卓上に置けるサイズの胡蝶蘭で、ちいさいものはみんな可愛く見えてくるものだけど、1本だけでひょろんと佇む胡蝶蘭は予想以上に可愛らしかった。欲しいかもしれない。あげたいかもしれない。

 3月8日(日) アムロド

 ゲーセンに行ったんだよ。耳栓して。ちょ~っと音がキツいからね。アムラス死にそうだった。ごめん。
 ぼくたちは双子で、良く似ているとかそっくりだとか言われるけど、結構違うところも多い。聴力なんて実はそれで、ぼくは耳が悪い。ちょっと違うかな?アムラスの方が敏感なんだよ、何かと。赤毛の色が明るいからかなー。
 で、やったら酔った。アムラスが。ここも何ていうかぼくは鈍感だよなー。
 ゲーセン行ったのは全然関係ないっていうか、なんとなく、だったんだけどね。ほらぼく進路で悩んでるじゃない。それちょっと思い出した。でなんか、こんな鈍感だったら逆にいいかもと思ってきた。
 直感を磨くっていうのかな…これ。

 3月9日(月) ケレゴルム

 持つべきものは友だと思った。
 フアン。俺、ちょーお前の毛並みに癒され中。あー泣きたい。

 3月10日(火) アナイレ

 仕事してる頑固さんを見てるのは結構好きなのよ。でも悩んでる頑固さんを見てるのはあんまり好きじゃないわ。ぐるぐるしちゃって。そこがまた「らしい」ところでしょうけど。ここの家の階段はあまり広くないから、ぼーっとしていられるとちょっぴりジャマなのよね。さ、どいて頂戴。
 でもね、あたくしこそ階段でぼーっとしているべきかもしれないわ。頭いたいの。考えすぎだと思うの。テツガクってむつかしいのね…。

 3月11日(水) エアルウェン

 帰りの電車で痴漢に遭ったの。
 座っていたら、隣の男が、そう、腿のあたりをぞぞぞって触って来て。
 警察に突き出したわ。訴訟は起こさないけど、犯人は、会社の上司に迎えに来て貰った。
 深夜までかかったけど、代理でって言ってマエズロスがすっ飛んで来てくれたの。
 ねえ、わたくし、ちょっと本国まで帰ってもいいかしら。勿論マエズロスにはとても感謝しているけど――。

 3月12日(木) アムラス

 私の体調はここ3日間ばかり最悪だ。だるい。眠い。頭が痛い。熱っぽい。
 アムロドが真顔で「アンバルッサが生理だよ」とかほざいた。
 本気で怒っていいかな。
 ところでもしこれが女性の月のものと似た症状だというのなら、女性は偉大だ。本当に。
 ………っくし!
 もちろん生理じゃない。私のは目に見えない微細なあんちくしょうが原因だ。花粉。アレルギー体質だったらしい。というか、花粉症になるのは大気中の微細な汚れが原因だと聞いた。ああ、納得。本国の空気は無駄に清浄だ。

 3月14日(土) ネアダネル

 今日は私にとってはホワイトデーじゃないのよ。大切なおともだちの誕生日なの。
 今日私が休むって知ってたから、職場での「お返し」は昨日大半貰って来たわ。そしたらフェアノールがたまたま来てて。見て。拗ねて。なだめるのに一晩かかったわ。あーあ、久し振りに本格的なつむじの曲げ方だったわね。かわいいこと。
 それで、今日は、あのひと私に何か渡してくるかしら?

 3月15日(日) イドリル

 うふっ。ふふふっ。
 らんのはなを貰ったのよ。ひとつはマグロールからで、あかいの。
 もうひとつは、さんかぶがひとつになってて、トゥオルさんから。
 でもぜーんぶマグロールからもらったことにしておくの。おとうさまにバレたらたいへんだもの。
 とってもいいかおり!わたし、おていれ、がんばるわ。

 3月16日(月) フェアノール

 マグロールの家が蘭の花で溢れているらしい。
 蘭と言えばマイア。そうだアリエンに話に行こう。

 3月17日(火) フィンゴン

 …………………………………………伯父上、何したんだろ。
 おれ、なんかスッゴイ疲れたけど、とりあえずマエズロスが頭撫でてくれたから良いことにする。
 あー、その、なんだ、おれのケータイにアリエンから電話があったわけよ。なんか口が重くってさ。普段からそんなお喋りなわけじゃないけど、明らかに、何か言いたいのに言えないっていうかどう言ったらいいかわからない感じで。堂々めぐり。ティリオンに相談すればどうだって言ってみたけど、そしたら「ティリオンに、ね…」って珍しく深い溜息つくし。
 延々黙ったりなんか言ったりして、最後にアリエンは「トゥーナの君がそっちに行ったら紅薔薇が大変だって伝えてくれる?」って言った。マエズロスが「………必ず伝える」って請け負った。アリエンはたぶん、やっとちょっと笑った。
 も一度言おう。伯父上、何したんだろう。

 3月18日(水) フィンゴルフィン

 なぜか、姉上に遭った。
 まさに遭った。
 姉上は友人と観劇の帰りだそうで、滅多にないことに酔っていた。そして絡んできた。
 言えない、絡み方は異母兄上とそっくりだなんて。

 3月19日(木) アイグノール

 昨日フィンゴルフィン伯父上がフィンディス伯母上にばったり遭遇して絡まれたらしくて、それでフェアノール伯父上とフィンディス伯母上の絡み方がそっくりだって話を聞きました。アナイレ伯母上から。酒癖悪いんでしょうか、ウチの一族は。
 そうしたら今日、もう寝ようと思ってた深夜に、俺の携帯に着信が。
 母上でした。
「今から歌うのね。だから来て」
 で、俺はなんでカラオケボックスにのこのこ来てしまったんでしょう。しかも面子が噂の幼なじみズで。つまり母上とアナイレ伯母上と、マエズロス兄なんですけど。
「アーちゃん、あのね、あれ歌って、アレ」
 アーちゃんて…母上、それ言ったらアングロドにいさまもアーちゃんだと思うんですけど。マエズロス兄がすっごいニガニガ笑いでした。止める気はないみたいです。とりあえず、俺は今から歌おうと思います。

 3月20日(金) フィンウェ

 ゲームセンターの前通りかかったらメダル10枚引き換え券っていうのを配ってたから、せっかくだし…やってみた。
 10枚からやってみて、15分経ったら150枚くらいに増えちゃった。かといってもう来るわけじゃないし。このまま続けても増えるだけだと思ったから、景気良くスってみようと思って別のゲーム機に行ってみた。
 そうしたら何かムダにスロットが揃うんだよね。私、こんなところで運は使いたくないんだけどなぁ…。
 最終的にはまだメダルが出てる機械を放置して逃げた。ちょっと後ろめたかったけど、元手はゼロだし、見つけたひとがラッキーなだけだよね。それでいいや。いいことにしよう。

 3月21日(土) フィナルフィン

 今日さぁ、マエズロスがすっごい弾んだ声で「ヘコんだ時にイッパツで浮上する方法考え付いた」って言ってきて、えーそれナニ教えてって言ったんだよ。誰でもそうするよね?
 「歌を全部「にゃー」で歌う!」って。
 「にゃー」だよ。
 「にゃー」。
 んでもって上機嫌のまま披露してくれたのが選りによってノルドランテ5章2節フィンゴンの勲第3歌サンゴロドリム踏破。まだヘルカラクセじゃないだけマシだったのかなぁ。しかも「にゃー」だよ。「みゃー」も入ってたかも。
 「にゃにゃーにゃっにゃ~~にゃにゃにゃみゃ~~みゃにゃにゃ~~にゃーにゃーにゃにゃ~♪」ってさぁ…いやあ、カッコ良さの欠片もなくてさ。謹んで大爆笑させてもらったけどこれ聞いたらマグロール嘆くだろうなぁ、って。うん。
 確かにヘコんだ時にやったら浮上するけどね。午後の執務はとりあえずにゃーにゃー言いながらやってみたよ。それなりに捗ったかも。

 3月22日(日) クルフィン

 非常に、行き詰っている。
 溜息を吐いても何も変わらないのは分かっているが、こうも上手く行かないと頭をかきむしって転げまわりたくなる。
 外は春の嵐で、生ぬるいのに強い風と降ったり止んだりする雨が奇妙に美しかった。

 3月23日(月) アレゼル

昨日の深夜、あの男が来たの。

帰って来たのって言ってあげたい時もあるのよ。少しは。

家を建てたらしいわ。

私ね、閉じ込められるのは嫌いなのよ。

誰だって、そうじゃないかしら?

 3月24日(火) フィンゴン

 実はこの2週間くらい真剣に本気でゲームしてたんだけどさ…。深すぎて逆にへこんだこの罠。今日すんだ。おれがゲームとかにハマってると叱ってくるトゥアゴンとか家に出入り禁止にしてくるマエズロスとかが何も言わないからなんなんだろうって思ってたけど…深い。深いわ。あー…悪意と善意をリアルに感じた。すげー怖かった。すげー癒された。……なんつか、おじいさまみたいだよなーはっはっはー…洒落ならん。

 3月25日(水) マグロール

 最近、エレイニオンが何かを聞かれても返事をしないことが多くなった。が、家族全員特に心配していないのは、その「無視」の後に目が合うとこう言うからだ。
「わるいこだからへんじしないんだもん」
 宣言する悪い子なら問題ない。宣言何かしないで良くないことするから悪い子なのだ。

 3月27日(金) フィンロド

 うああ~~~~、呑んだ。
 昨日の夜っていうか5限終わってから呑みで、オールで、夜明けの太陽拝んじゃって、でも勿論今日も授業があって、私サボったらトゥアゴンに殺される。いやもう絶対殺される。
 だからちゃんと行ったよ。行くだけ。あんまり眠くてトゥアゴンの横で寝たけどね。殴られた。いーたーいーっ。酒臭いってさんざん怒るし。
 そりゃ呑んだのは私だけどさぁ…。
 ……………………………で、ちょっと某所にメール。授業終わってトゥアゴン拉致。
 あはははははは!
 私の方が強いもんね!!

 3月28日(土) カランシア

 妻とケンカした。はっきり言って泣きたい。
 だが今日は仕事で観劇だ。昨日のケンカが尾を引いていて、ケータイを忘れた。どうする気なんだ、僕。
 …………おそるおそる家にファックス入れておいたら、妻はケータイを持ってきてくれた。勢いで映画を観た。特盛りパフェを食べながら「デートもいいかも」と妻は言った。
 よかった…。仲直りということになったようだ。
 ケンカの原因は実は覚えていない。

 3月29日(日) トゥアゴン

 死にそうだ…。
 頭痛と、吐き気で。
 フィンロドは陽気に踊りながら帰っていった。
 ……踊りながら?
 ということはやっぱりあいつも相当酔っているとかいうことだろうか。
 まあ、フィンロドだから、死には、しない、だろう…悪運が不思議なくらい強いから…。
 ……………ごめん、ごめんイドリル。愛してるけど、ちょっと、ここの周りを駆け回るのは止めてくれないか…響く…。
 ……死にそうだ…。

 3月30日 アルゴン

 マエズロス兄ィん家には書庫があるって聞いたから、今日はちょっと行ってみた。
 すっげー。
 オレ、梯子掛けるほど本棚が連なってるのなんて、初めて見たかも……あっやべっ。ちょっとこれナイショな。小兄上に知られたら殺される。本国で何回かコールに連れてかれたんだった、そういえば。入ったふりして外の階段でずっと遊んでたとか言えない。
 貸してって言ったらマエズロス兄ィ、「そっちは私のだからいいが、この青い表紙のはクルフィンのだからな。あいつがお籠りから出てくるまでは何も言えん。この赤いのはおじいさまのだから貸してもいいだろう。大切に扱ってくれ」って言った。なんでわかんの?
 首かしげてたら、マエズロス兄ィ、表紙からちょっとめくって見せてくれた。
 すっげー。なんなんだこのうち。
 蔵書印だよ蔵書印。しかも個人。おじいさまから伯父上と伯母上と、七兄弟全員分。つか、双子も分かれてる。アリか?それって。
 とりあえず、すげーすげー思いながら2冊借りて帰った。オレ、読書は嫌いじゃない。小兄上みたいに勉強するぞって連れて行かれるのはごめんだけど。

 3月31日(火) オロドレス

 学生の長い長い春休みも、じきに終わる。3月も去って4月になったら、新学期なんてすぐに始まっちゃう。
 そういえば、わたし、ものすごく疑問なことがあるんだ。……フィンロド、兄さんのことなんだけどね。ああ、トゥアゴン兄もか。
 あのふたりの大学って、春休み、ないんだろうか。この間もオールしてべろんべろんになってて、それでも「授業があるー」とか言って、ぐだぐだなまま学校に行ったみたいなんだけれど。
 4月になって、「春休みだー」とか言い出したら、どうしよう。あのひとを放っておくのは結構困ることもあるんじゃ…まあいいのか。そうしたらきっとトゥアゴン兄も休みだろうから。