ごうごうと燃え盛り逆巻き舞いあがる炎を見て、そしてそこから響く声を聞く。
水を、水を、水を、水を
誰が焼かれているのか、
それとも彼(もしくは彼女)はとうに炎の一部なのだろうか。
だというのに声は響く、
水を、水を、水を、水を
頼むから水をくれ、と。
ノルドの族は本当にまるで炎のただなかにいるようだと思う。
水を、水を、水を、水を
彼らはいつも乾いている。――そして焼かれている、
ゆえにいつも求めている。
水を、水を、水を、水を
頼むから水をくれ、と。
まるで獣じみている、肌の上をすべる手も唇も何もかも、
そして声が、また、乞う。こいねがう。
ああどうか、頼むから愛をくれ。
愛は乞うものではないぞと言ってやったら彼は心底迷ったこどものような顔をして
仕方ないといったふうにまた身体ばかりを貪るから私はいつも伝えられないことに
すこし苦しみながら熱い乾いた魂を受けとめて吸われるままにまかせてしまうのだ
水を、水を、水を、水を、
さいわいなるかな、水はそこに何をも呑んで、あるのだと。
なんとふしあわせ、彼らはいつも、それには気づかない。
モノカキさんに20の台詞 お題12「頼むから水をくれ」