文字のなかった頃

 ウチの子、エイセルロスは伝令でもあります。いまやすっかり郵便屋さんですが…。
 そんな彼はとっても記憶力がいいのですが、その記憶力を死ぬほど活用しなくてはならなかった時期があります。
 なんのことはない、文字の開発前です。

 うっかり忘れていて、あわてて追加したんですが、
 フェアノール文字っていうのは、フェアノールが生まれて、育って、それなりの年にならなければ出来上がらないものであり、
 かつその前の段階であるルーミルの文字もアマンにて作られたもの…
 ってことは、中つ国でエルフの大移動の頃って、文字ないんじゃん!

 お手紙も、あるわけない!

 と、遅ればせながら気づいたわけです。

 しかしそう考えると、フィンウェさんはミーリエルを口説くのもインディスに求婚するのも、
 直接言って喋るか言伝てをお願いしていたわけで、
 その言伝てするエルフはさぞや緊張した、っていうか他のエルフが知らないようなこともごっそり知っちゃうだろうから、
 口の堅いエルフなんだろうなあ、と。

 てことは、基本的に内密な話があるときは、今なら極秘文書とかで書簡のやりとりができますけど、
 当時は自分で直接訪ねていくしかないわけで、その前に走る走る、先触れが走る。

 その名残で、今もエイセルロスはめちゃめちゃ走ります。そりゃもう。ダッシュで。

 挙句にネッサの鹿とかに紛れて走ってればいいと思います。走る走る。マンドスまでも。